すべてのDCアウトが個別に独立して絶縁(アイソレート)されている、独立型パワーサプライ、One Control Minimal Series Distro MkII Isolated。
サイズは、一般的なコンパクトペダルと同等。これまでのDistroのようにミニサイズとはいきませんが、それでもこれだけの機能を備えたパワーサプライとしては驚異的な小ささです。
Distro MkII Isolatedの機能をご紹介します。
側面には、4つのDC9V/500mA端子を搭載。500mAなので現在主流となっている多くのデジタルペダルも動作します。
そして、手前側には6つのDCアウトを搭載。うち4つは9V/80mA、1つは9V/250mA、そしてもう1つは9V/250mA~18V/125mAに可変できるSAGアウトです。
完全独立型ですので、デジタルペダルとアナログペダルの混合によるノイズの混入もなく、さらに、センタープラスのエフェクター(別売変換ケーブル使用)とセンターマイナスのエフェクターを同時に駆動させることもできます。
また、Distro MkII IsolatedにはこのようなY字のケーブルが付属しています。これは、2つの端子の電流容量を合計することができるものです。
このように使えば、2つの端子でDC9V/160mAとして使うことができます。消費電流130mAなど、微妙にDistro MkII Isolatedで使いにくいペダルを使用する際などに最適です。
右端にあるSAGアウトには、このようなノブがあり、これで9~18Vに電圧を可変できます。写真は18Vの状態です。
18V駆動に対応したエフェクターを1つ使うことができます。
ペダルボードに電源を供給するのに欠かせない、パワーサプライ。最もノイズの少ない電源は電池、という話はよく知られていますが、近年は電池非対応(アダプター端子のみ)のエフェクターも増えております。物理的に電池が入らない小さなエフェクターはもちろん、特に海外製のエフェクターでは環境負荷を減らすために電池非対応としているメーカーもあります。
そうなると、必要になるのがパワーサプライです。1台1台エフェクターにアダプターを用意するわけにはいかないので、1つで複数のエフェクターに電源を供給するパワーサプライが必要になります。
パワーサプライにもいろいろな種類がありますが、中でもノイズのないパワーサプライとして知られるのが「アイソレート」「独立」と呼ばれるパワーサプライです。これは電源出力端子が1つ1つ絶縁(アイソレート)されており、個別のアダプターを使っているのと同等の使い方ができるパワーサプライです。
もちろん、
One Control Minimal Series もアイソレートパワーサプライです。このDistro MKII Isolatedは特にノイズが少ないパワーサプライです。
アイソレートパワーサプライでノイズが少ないと言われる理由は、各電源端子が独立していて、他の電源端子からのノイズや影響を考慮しなくて良いからです。これが顕著なのはデジタルエフェクトとアナログエフェクトの混在時です。従来の電源分岐のみのパワーサプライでは、デジタルエフェクト由来のクロック周波数がアナログエフェクトに影響し、ノイズが出てしまうことがありました。
アイソレートパワーサプライはそういった影響がなく、安心して使うことができるのが大きなポイントです。
一方、今多くあるアイソレートパワーサプライには、かつてのアイソレートパワーサプライとは違った特性があります。
かつて、アイソレート(独立型)パワーサプライは大きくて重たく、大容量電流は供給ができませんでした。理由はトランスを使っていたから。現在のアイソレートパワーサプライの主流はスイッチング方式という電源で、大容量出力の電源アダプターと同様の構造となっています。
Distro MKII Isolatedも含め、500mAといった大容量出力を持つパワーサプライは、スイッチング方式であることが一般的です。特にコンパクトかつ大容量なのは間違いなくスイッチング方式となります。物理的にトランスが入らないためです。
しかし、この大容量電流端子が電源ノイズにつながる場合があります。ごく一部のエフェクターで起こることで、多くのエフェクターでは問題ないことが多いのですが、まれに”アイソレートパワーサプライを使っているのにノイズが出る”というお問い合わせをいただきます。パワーサプライはアイソレートだから、エフェクターが原因でノイズが出ているのでは、と思ってしまうことはあると思います。もちろん、疑問があればすぐにお問い合わせいただける方がありがたいことです。
アイソレートパワーサプライでも電源ノイズが出る…この問題を解決するため、Distro MKII Isolatedではこの端子があります。
80mA出力端子。近年のアイソレートパワーサプライでは、出力端子ごとの電流容量を大きくし、合計の最大容量を制限する場合もあります。大容量=便利なのは間違いありませんから、その考え方はとても正しいと思います。
しかし、One Controlではそれでも80mA出力端子を装備しました。
これは、大容量電流端子でノイズが出やすいエフェクターの例です。エフェクターが悪いというより、回路構造上どうしてもノイズが出てしまうことがあります。こういったエフェクターは、80mA端子をご使用いただくことで、電源ノイズを気にすることなくご使用いただくことができます。
Distro MKII Isolatedは、私達がこれまで見てきた中でも特に電源ノイズが少ないパワーサプライだと思います。
アイソレート電源なのに電源ノイズが出ることがある、というお悩みの方、ぜひご検討いただければと思います。